2018年はたくさんの台風が日本列島を襲いました。台風と言うと大雨による洪水、水災などの被害を多くの方は思い浮かべるかもしれません。けれども、洪水による損害以上に多いのが台風の暴雨によってもたらされた屋根の被害です。日常的な風であれば十分に耐えられる屋根も、台風の強烈な暴雨にさらされると酷い時には瓦が飛ばされてしまう事もあるのです。
多くの方が加入されている火災保険。火災保険は建物やそこに収納されている家財が火事で燃えてしまった時に保険会社が保険金を支払ってくれるというものです。けれども火災保険とはそんな火事による損害だけでなく、実は台風によって家がダメージを負ってしまったという時も補償してくれるという事をご存知ですか?特に台風の当たり年であった今年は暴雨によって屋根が大きなダメージを受けてしまったという事例が多かったのです。台風による屋根のダメージも大きい時には修理費用として数十万円から百数十万円と高額になってしまう事もあります。そんな台風による屋根の損害について、火災保険の利用方法について詳しく見て行きましょう。
火災保険は火事だけでなく、台風によって受けた屋根の損害についても補償対象としているものがあります。もし、ご自宅の屋根が台風によって損害を受けたのでは?と思った時には火災保険の保険証券を確認するか、もしくはご契約をされている保険会社に連絡をして確認をしてみましょう。普段より火災保険の契約は保険代理店を通して行なっている場合にはそちらに連絡をする事でも良いと思います。火災保険はその補償内容が分かりにくい事が多いので、決してご自身で判断するのではなく、保険証券を確認する事、もしくは保険会社や保険代理店に確認される事をお勧めします。
台風によって屋根が損害を受けたとしても、すぐにその事に気がつかない事があります。台風が去ってしばらくした後、雨の日にご自宅の屋根の雨樋を確認される事をおすすめします。通常ならば雨樋を伝って雨水はスムーズに壁を建てに伝う雨水管に流れて行きますが、台風によって雨樋がダメージを受けていた場合、雨樋の一箇所から雨水が集中して漏れるように流れ出している事があります。そういった台風による雨樋のダメージにおける修理費用も火災保険の補償範囲に含まれて参ります。
また、屋根の瓦に損害が発生した場合もすぐに発見出来ない事があります。もし、ご近所の方が台風の被害を受け、屋根の修理を行なっている事を知ったのなら、ご自身のご自宅の屋根もダメージを受けている可能性があります。そんな時は最寄りの工務店に調査依頼をすると良いと思います。
ご自宅の屋根に損害がある事が分かり、工務店に修理を依頼する際、まずは工務店に次の3点を依頼しましょう。
1.屋根の損害につき原因に関する工務店の見解
プロである工務店の方が見て、その屋根の損害は台風によるものとおっしゃっていただけるのであれば、火災保険の利用はまず問題ないと思います。一方で工務店の方が屋根の損害を見て、実はこれは台風による損害ではなく、日常的な自然消耗によるものという見解が出た場合は火災保険の利用は難しくなります。火災保険は火事、台風による損害などの災害は補償対象としますが、自然消耗などは補償対象外となるからです。
2.修理見積もり
工務店の方が屋根の損害につき、これは台風によるものという判断をされたのなら、次に修理見積もりの作成をお願いしておきましょう。
3.写真
工務店の方に屋根の損害を受けた箇所の写真を撮っておく事を依頼しましょう。工務店の方であれば、写真を撮る事は全く問題なく受けてくれるはずです。なかなかご自身で屋根の上に登り、損害があった箇所の写真を撮る事は出来ません。工務店の方に撮って頂く事が現実的です。また、写真を撮る際は複数のカットをお願いしておくとベストです。
工務店の方の見解により、それが台風による損害だという事が分かったら、次は保険会社にその旨の連絡をします。その際、連絡をするのは保険代理店でも問題ありません。連絡する事項は次の通りです。
①事故日(発見日)
この場合、台風がご自宅に接近した日で問題ありません。
②損害の状況
例)瓦が飛んだ、雨樋が破損した等
③修理を依頼している工務店の連絡先、ご担当者名
④写真、修理見積もりを入手済みの場合はその旨を伝える
通常は保険会社は修理見積もりと損害があった箇所の写真、そして修理業者に連絡を取り工事の詳細を確認する事などにより保険の対象になるかどうか、そして支払い保険金の査定を行います。一方で上記の内容を受け、修理金額、または損害の状況により保険会社は独自に損害鑑定人を手配しご自宅を見に行く事もあります。その場合は日程を調整し、ご自身も現場に立会いを求められる事があります。
修理を工務店に依頼する時に、注意すべき事が一点あります。修理をする時にこの際だからと言って、損害を受ける前に比べて屋根の仕様がグレードアップするような工事を発注すると、その差額は保険会社に支払い保険金として認定してもらえない事が有り得ると言う事です。火災保険はあくまでも災害にて損害を受けた時、現状復帰するためにかかる費用を補償するというもの。つまり屋根の仕様が修理によりグレードアップしてしまう時には、従来の状態に戻すためにかかるであろう費用とグレードアップした時にかかる費用の差額分は保険会社がその保険金支払いを否認するという事です。もちろん、それを承知で差額分は自分で負担をするというお考えであれば全く問題はありません。以前大田区にある我が家も台風の被害を受け大田区を対応エリアとしている屋根工事業者に問い合わせ補修をお願いしました。結果的には自己資金も出しましたが、しばらく工事を行う必要がない状態に仕上がったので大満足です。
台風により屋根が損害を受けるとその修理代金は高額になる場合があります。工務店との契約は自宅建物の持ち主との契約になりますので、一義的に修理代金は工事発注者が支払わなければなりません。けれども、手持ち資金に余裕がない場合、工務店へ支払いはタイミングによっては保険会社から保険金を受け取ってからと考える人もいる事と思います。その際、それであれば保険会社から支払う保険金は直接、工務店に支払って欲しいと考える人もいるはずです。けれども、実際には保険会社から工務店に直接保険金を支払う事で生じる不都合もあるのです。保険会社はその修理内容が問題ないと査定した場合は、通常修理見積もりとほぼ同額の損害保険金を支払います。一方で損害保険金とは別に、保険契約者が台風により損害を被った事で屋根の修理以外に臨時的に生じてしまった費用も保険金として払ってくれる事が一般的です。例えば、台風が去った当初、屋根に損害が生じているかどうか確認をするためにご自身でハシゴを買って来て確認をしたのでハシゴの購入費用が発生したというケースもあるかもしれません。保険会社はそう言った費用を臨時費用保険金として支払ってくれるのです。ですので、損害保険金に臨時費用保険金を合わせた保険金の合計は実際に工務店に支払うべき修理費用を超えるという事が珍しくありません。ですから全額を保険会社が工務店に支払う事は少し問題があると言う訳です。その場合はやはり一旦、保険金請求者が保険金を受け取り、その中から修理費用相当分をご自身で工務店に支払う事が良いと思います。
保険会社の査定のプロセスを経て、保険金支払い対象と結論が出た場合、そして支払い保険金の金額が確定しますと、保険金請求書の手配が必要になります。具体的には保険会社より保険金請求書が送付されてくるので、そちらに署名、捺印、保険金振込先口座を記載して返送します。保険金は保険金請求書を返送してから、内容に問題がなければ数日で指定の口座に振り込まれます。
保険会社から支払われる損害保険金に税金はかかるのだろうかと疑問に思われる方もいらっしゃると思います。損害保険金はあくまでもご自身に経済的な損害を被った結果として保険会社から払われるものですから、そこに税金はかかりません。
台風による屋根の損害は近年、物凄く増えてきております。特に2018年は日本に上陸した台風は相当な数に上りました。それゆえ、保険会社の対応もかなり混沌としたようです。一方で私たち一般人は台風による屋根の損害などに対する火災保険金の請求など、日常的に慣れてはいないものです。その手続きのプロセスで少しでも分からない事がある場合にはご自身で判断をせず、約款、保険証券で確認をする、もしくは直接保険会社や保険代理店に連絡をして確認をするなどと言った事をおすすめします。